道徳性と社会性が育っていくには

ピアジェやコールバーグは「幼児期における道徳性は基本的には他律的であったり、利己的である」と述べています。幼児期の子ども達は、どうしてルールがあるのか、ルールをどうして守らないといけないのか、などということがなかなか理解できない存在です。だから、放っておいて、道徳性と社会性は育つのかと言えば、ノーと言った方がよいと思います。まずは、大人がどうしてルールを守らないといけないのか、守るとどうのようになるのか、ということを理由と共に子どもに伝えていくことで、子どもが道徳性を身につけていけるようになります。つまり、大人の関わりが重要だということです。

 社会性は、子ども一人では育っていきません。仲間ともまれていくことでしか育むことができないものです。そのためには、いろいろな人と関わる必要があります。いろいろな人と関わり、イザコザを経験し、他人を理解していくことで、社会性は身についていきます。
でも、道徳性が強すぎると、仲間集団とうまく関係作りができない場合もあります。小学校以降の集団では、「あいつはまじめすぎるからおもしろくない」などといって、仲間外れにされてしまうことがあると聞きます。その一方で、仲間と関係作りができる場合でも、道徳的に問題な行動をとる子どももいます。要は、人が社会で生きていくうえでは、道徳性も社会性もどちらも必要な訳で、この双方がバランスよく子どもに育つように、親は子どもの育ちを見ていかないといけません。