今の自分と子どもを比較しないでおこう

子どもに過度な要求(例えば「○○でないとダメ」「○○点を取りなさい」などと一方的に子どもに要求してしまう場合などなども当てはまります。)をする場合の親の気持ちのパターンは、①今の自分は立派な存在だから、そんな自分のような人になってほしいという気持ち、②今の自分のようになってほしくないから、がんばってほしいという気持ちのどちらかであることが考えられます。

①のような場合、今の自分の姿である“がんばっている自分”は大人になるまでの時間をかけて形成されてきたはずです。子どものころから自分で進んで◇◇をしていたのでしょうか。子どものころから常にがんばっている自分がいたわけでしょうか。おそらく、そのような方は非常に少ないと思います。
自分は長い時間をかけて作ってきたものを、我が子にだけ短時間で形成しなさいというのは乱暴な話のように思います。このような場合は、自分の小さい頃のことを思い出し、同じ土俵にたって我が子と自分を見比べてみると、今の我が子への関わりを見直すきっかけになるのではないかと思います。

次に②のような場合は、今の自分(現状)に過去の自分の姿を加味して我が子に接している場合に見られるのではないかと思います。「こうしておけばよかった」というような思いが今のお子さんとの関わり方に強く影響している場合です。自分の過去を振り返り、こうしておけばよかったと思うようなことは、親としての立場から子どもに伝えていく必要はありますが、それを“絶対的なもの”にしてはいけないのではないかと思います。“絶対的なもの”は過度な要求として表れてしまいます。
こう考えると、過度に「自分ができなかったこと、しなかったことを子どもにやらせる」ことは、あまりほめられたものではないと理解していただけるのではないかと思います。でも一方で、「こうしておけばよいのに!!と思うようなことであっても、子どもには言ってはいけないのか」というとそうではありません。子どもの言い分も聞きながらも、必要なところは伝えていく。その際には、「なるほど、よくわかる。でも、そこは○○した方がいいよ」というように、子どものことを考えたアドバイスを心がけるようにすると、子どもとの関係にひびが入ったり、過度な要求にはならないと思います。また、年齢にあったものを示していくのも一つです。そのためには、子どもの少しの変化を見逃さないようにすれば、子どもの進歩を実感することができるになります。基本的には、人間は弱い生き物なのです。すべてを一時の判断でもって要求してしまうのは、よいとは言えません。「最終的に子どもが大人になったとき、うまくいっていればよい」ぐらいの考えでいる方がよいのではないかと思います。その方が親子ともに気が楽なのではないでしょうか。