角度を変えて子どもを見てみる

人が人に対する印象をどのようにしてもつのか疑問に思ったことはありませんか?「あの人は○○だ」とその人に対する印象はどのように認知されるのかというと、なんとなくいろんな情報を総合して「○○だ」と決めているように思えるのですが、実はそうではないのです。その人が持つ特性を統合して印象を作るのではなく、印象深い特徴によって人の印象が決められています。まさに「あの人は○○だ」という○○が受け手にとって印象深い情報であり、その情報によってその人を受け手が勝手に決めてしまっている訳です。いいかえれば、人が人に対して抱いている印象はあいまいで偏ったものであると言えるのではないかと思います。また、その人の特徴でないものによっても人は影響を受けます。例えば、職業などによってその人の印象が変わるのもその典型的な例ではないかと思います。「先生だからあの人は○○だ」などと一方的な見方や自分の中にある既存のその人に関係のない情報で人の印象を決めてしまっていることもあります。

 僕達保育者は、子どもを見る時に今までの情報を頼りにすることはありますが、決してステレオタイプ的な見方をすることはありません。「このような子どもは○○だ」というような見方をすることは決してその子のまっすぐな姿を見ることにはならないのではないかと思います。人はステレオタイプに一致する情報は記憶に取り入れやすいという特徴を持っています。だからこそ、角度を変えて物事を見ていくことが教育者には必要なことではないかと思います。「どうしてなんだろう」「なぜなんだろう」「どうすれば、いいんだろう」。このようなことを自問自答して子どもと共にその育ちを考えていくことが、一人一人の育ちにあった保育実践につながるのではないかと思います。そう考えると保育者は柔軟な考えの持ち主でないといけないですね。