絵本を子どもに読み聞かせる上での留意点

 まずは、読み手と聞き手が絵本を通してコミュニケーションをとっているということを忘れないようにするとよいと思います。読むときにはゆっくり、はっきりと読むことを心掛けてみてください。子どもには、読み手がゆっくりすぎるのでは?と思うぐらいでちょうどよいぐらいになります。

 声の大きさにも注意してみるとよいでしょう。子どもとの距離に注意して十分聞こえるような音量で読んであげるようにしてみてください。聞き手の状態を見ながら、まるで会話をするかのように読み進めてみてください。その時には、子どもが絵本の世界に入りやすいように、時には子どもの目線を誘導することも必要な場合があります。でも決して、「〇〇はどうだった?」などと前に出てきた内容を確かめるような質問をしないようにしてください。読み始めたら、最後まで読み進めることを心掛けてください。欧米ではページごとに絵本を指さして“What’s this?”などのように内容を確認しながら読んでいくスタイルが主流ですが、日本では、そのようなことはしません。内容を理解するということに力点を置いているのではなく、子どもの創造性を育みところに力点をおいているためです。

 とにかく、絵本の読み方にうまい、ヘタはありません。コミュニケーションするような気持で聞き手の感情に注意しながら読んであげるだけで、子どもには読み手の思いが伝わっていきます。恐れずに、楽しそうに読んであげることが大切です。その際に、ひざの上に子どもを乗せたりしてスキンシップをとってあげるとさらに距離が近づきますよ。
 絵本を読んであげるときにも、「面白い絵本があるから一緒に読もう」というように読んであげるというよりも子どもと「一緒に読む」という感覚で子どもの感情をゆすぶってみてください。