絵本を子どもに読み聞かせる上での留意点 Part2

 絵本を読む際には、聞き手という相手がいることを踏まえて読む必要はあります。絵本はコミュニケーションの一環であると、再三にわたりお伝えしていますので、読者のみなさんには十分にその意味を理解していただけていると思います。これさえ押さえていただければ、基本的に絵本をどう読むかは読み手の自由です。ただし、やってはいけないことが少しあるので、お知らせしておきたいと思います。
 保育の現場で絵本を読み終えた後に、子ども達にお礼を言わせている姿を目にすることがあります。例えば、保育者が2人いる場合に、読んでいない保育者が読み終えた直後に、「みんなでありがとうとお礼を言いましょう」とか、「なんていったらいいかな?」などと誘導しているような場合です。基本的にどちらもよくない行為です。家庭では、「ありがとう」と言わなければ次に読んであげないというようなルールを作るような場合、これもよくない行為です。子どもが感じた感情や思いを大事にするということが、感性を豊かにしていくことにつながるのですから、大人の価値観を思いもしていない子どもに押し付けるのはよくありません。本当に読んでもらって嬉しかったら子ども達の口から自然に「ありがとう」という言葉が生まれてくるはずです。
 物語絵本の場合だと、子どもがそこで面白いと感じると必ず、「また読んでほしい」という言葉が返ってきます。物語絵本はその内容を完璧に理解させることが目的ではありません。読んでもらって楽しい、面白いという子どもたちの感情をぜひ大切にしてください。