絵本を通して家庭で豊かな時間を

絵本は読み手と聞き手とのコミュニケーションであると、当園の絵本Q&Aでは再三にわたって述べてきました(当園のホームページに子育て支援サイトがあります。その中に絵本のページがあります。ぜひご覧ください。)。そこで、一つ皆さんに気を付けていただきたいことがあります。それはスマホなどのメディアがこのコミュニケーションを危うくする存在でもあるということです。子育てをしている中で、子どもが騒いでしまい、仕方なくスマホなどを子どもに与えてしまうことはあるかと思います。不思議なもので、泣いていた子どもにスマホを与えると、ピタッと泣きやんでしまうので、驚いてしまいます。そのような効果をご存知の方も多いかと思います。そうすると、ついつい子どもを静かにさせるためにスマホを与えてしまいがちです。もしそうであるならば、スマホを全く与えないでといっているのではなく、家ではスマホで遊ばせる時間を絵本の読み聞かせにしてみてはいかがでしょうか、という提案をしたいと思います。

スマホやテレビは子どもを静かにさせる効果が絶大ですが、言い換えれば、それだけ刺激が強いということです。しかもこの刺激は人と人との心の共有ではないところに問題があります。乳幼児期からこのような刺激の強いメディアに長時間接していると、子どもには様々なよくないことが起こる可能性が出てきます。日本小児科学会でも「スマホに子守をさせないで」という啓発ポスターを10年ほど前にも出されたぐらいです。そこでは「赤ちゃんの育ちをゆがめる可能性がある」「親子の会話や体験を共にする時間が奪われる」といったことや、大人がスマホを使いすぎることで、「赤ちゃんの興味・関心を無視してしまい、安全に気配りができなくなる」などの指摘がなされています。長時間のメディア接触による子どもへの影響として、子どもの言葉の発達の遅れや、集中力、思考力の低下なども指摘されています。

ぜひ、スマホを絵本に代えて、子どもに絵本を読んでみませんか。言葉と絵を通して子どもと思いを共有でき、絵本の読み聞かせをしてもらうことで、読み手(親)の自分への愛を子どもが感じることにもなります。絵本の読み聞かせが、わが子との新しい出会いになるかもしれません。