共感することで子どもの学びが深まる

 当園では、行事は日頃の保育の積み重ねだと考えています。作品展もその一つで、作品展は毎年2月に行われるのですが、作品展のためだけの保育にならないように注意しています。当園では子どもの心の育ちを大切にしているので、子ども達が「作品を作りたい」と思えるような環境成を意識して、日々の生活の中で子どもたちが主体的に制作できるようにしています。具体的には保護者のみなさんから協力いただいた廃品をいつでも子どもたちが利用できるように廃品ボックスなるものを用意して、自由遊びにはおもいっきり制作ができるようにしています。


中を開けて見せてくれました

 しかし、ここでは幼児教育の正しい理解が必要です。大人の観点から見てしまうと、子どもの思いは受け止められません。「幼児教育はプロセスが大切です」と僕が再三、お伝えしているのは、この部分です。子ども達が作ったものを見ると、「何だコレ、こんなガラクタ」と思ってしまい、「ゴミになるから捨ててしまいなさい」とか「家に持って帰るのはやめなさい」と大人は口にしてしまいがちです。このような理解のない考えを聞くととても悲しくなります。確かに、大人の観点からするとガラクタに見えるものかもしれませんが、ここには子どもたちの思いがあり、意欲や心情の育ちが隠されているのです。「幼児期の子どもにとってのあそびは、生活そのもので、遊びを通して学んでいく」と聞かれたことがあるかもしれません。ここでいう「遊び」には「創造し工夫できる」ことが大切で、これが子どもの育ちを促していくものになるのです。この学びをサポートしていく大人の関わりは、何かよくわからないものでも、子どもが自分の思いを、制作を通じて表現しているところを認めてあげることなのです。認めてあげるならば「これ何をつくったの?教えて」と子どもの心に共感する言葉をかけてあげることなのです。そうすれば、きっと子どもは自分の心の内をみなさんに話してくれるでしょう。それが親子の絆を深めるものとなり、子どもの育ちへとつながっていくのです。
 どうぞ、みなさん、正しい幼児教育の理解をお願いします。