子どもが子どもを育てていく

「子どもにとっての環境」っていったい何でしょうか?僕は今、大学で保育環境の授業をもっていますが、この問いの大切さを先生の卵たちには力説しています。
子どもにとっての環境を論じる時にもっとも大切な環境は人的環境であると思います。人的環境の代表者として保育者があげられますが、もう一つ人的環境として大切な要素になるものがあります。(正確にはもっとありますが、ここでは省略します)それは子ども自身です。「子どもってどういうこと?」と言われそうですが、「子どもが子どもに影響を与える」ということを考えると容易に理解していただけるのではないかと思います。

だから「やまなみ幼稚園では子ども同士の関わり」を重視した保育活動を行っているのです。子どもが周りのモノ・人・コトとつながった時に初めて子どもには環境として意味のあるものになります。つまり周りに人やモノがあるからといってそれが子どもにとって意味のある環境であるかというとそうではないということです。子どもとつながらないと意味のあるものとはならないのです。
簡単に言うと、子どもの中にそれら(人・モノ・コト)が存在しないといけないということです。そのためにはまず、それに対して興味関心が子どもの中で湧き起こらないといけないということです。「子どもにどのような関わりが必要なのか?」、「子どもにこれはどのような効果、影響があるのか?」などと子どもの側に立ち、子どもと周りの人・モノ・コトとのつながりをしっかりと考え、興味関心がいくように環境を設定していかないといけないのです。
コーナーあそびを例にとると、私たちやまなみ幼稚園では単に子どもが好きそうなコーナーを用意して遊ばせているだけではないのです。子どもたちの興味関心をとらえるだけではなく、その影響や効果、保育者の関わり、子ども同士の関わりについてきちんと考え構成をしています。新奇性、継続性、操作、役割、構造などの項目を考慮してコーナー設定を行い、子どもたちの近い将来を見据えた見通しのある保育展開にしています。そしてコーナーあそびでは人と人を繋ぐ関係をもっとも大事にしています。子ども同士が刺激しあい学びあうことで子どもが子どもにとって大切な環境になっていくわけです。
だから、「保育者⇔子ども」の関係も大切ですが、「子ども⇔子ども」の関係も大切な育ちの要素だということがおわかりいただけたでしょうか?