褒めるということ

 褒められると誰でもうれしいとよく言われますが、実際のところ、そうでもない場合があります。一度、想像してみてください。褒めるに値しないようなことを大げさに褒められたり、自分がとても嫌っている相手からどうでもよいことを、さも「あなたしかできない」などと言われたりしたら、きっとそれは本心ではなく、下心があるか、嫌味をいわれていると捉えることだと思います。褒めるというのは、誰からどのような状況で褒められるかということがとても重要になります。つまり、信頼される人や尊敬される人から褒められることで、褒められてうれしいという気持ちが湧いてくるのだろうと思います。そして、次は褒めるタイミングが重要となります。大人でもしばらく経ってから褒められるよりもその場ですぐに褒めてもらえる方がうれしいですよね。子どもの場合はそれが顕著で、しばらくたってから「あの○○はよかったよ。」などと言われても、保存性が乏しいため、その事実をすっかりわすれていて、褒めている効果が薄れてしまいます。

 しかし褒めるタイミングによってはとても効果があることもあります。それはズバリ、一生懸命取り組んだ後に、それに対して心から声をかけて褒めてあげることです。即時強化と言われるもので、良いと思われる行動が見られた時には間髪入れずに褒めて、その行動が良かったということがわかるように理解を促すということですが、なんでもかんでも褒めてしまっては、本来の即時強化の意味が薄れてしまいます。

 褒めるということで大切なのは、子どもが信頼している保護者である皆さんが、しっかりと子どもを見つめ、頑張っていると思っているような出来事や行動が見られた時には、すぐに反応してその頑張りを褒める、これが褒めるということで一番大事な考え方であるといえます。